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CMT工法・メディア紹介

特集 礫・地盤に望む 月刊推進技術 Vol.24 No.8 2010

■カッタヘッド
カッタヘッドは高トルクの回転力と面板押付力における耐久性が要求される。圧砕された破片により面板・外周板の対磨耗性やマシンタレット部のベアリング強度の強化を図った。カッタヘッドの磨耗対策は面板及び外周板に特殊補強材を装着し、隙間は硬化肉盛溶接で補強する。

(2)推進力の低減
玉石・礫破砕型掘進機は面板に装着したローラビットで玉石を圧砕しながら推進を行う。玉石の割列強度が大きく、また地盤の自立性がない場合は500 ~ 1000KNで面板を押付ける。マトリックスの粒度組成が悪い場合は添加材を面板から注して切羽前面を圧密状態にする。圧砕された岩片は掘進機外周へ押し出される。

一方、CMT工法の推進力低減方法は「緩み土圧抑制材」を管外周テールボイドに注入し緩み土圧の発生を防止し推進力低減を図る。

テールボイドへ圧砕された岩片が周り込むと、岩片が推進管に接している面は点接触に近く、単位面積当りの接触面圧が非常に大きくなる。

例え「滑材」を注入しても接触面圧が大きいと滑材膜が膜面切れを起こし効果は期待できない。

到達した推進管外周面のセメント分が洗い出され骨材がむき出しになっていることからも推進管外周の過酷な環境が推測される。極圧状態で膜圧切れ状態を生じない「鱗片状黒鉛」などの減磨材の添加を検討したが実現には至っていない。

添加材を面板より十分注入し、外周テールボイドへ注入する「緩み土圧抑制材」の粘性を20,000mPa.sまで上 げて推進管外周の環境の緩和に努めている。

他方、面板スリット(土砂取込み口)の形状や遠隔操作による開口率調整により、クラッシャによる2次破砕が可能な岩片・礫を出きるだけ取込み、外周への周り込みを防止して推進力低減に努めている。

(3)推進管の品質確保
玉石・砂礫地盤における推進管の品質確保にクラックや孔あき発生防止が上げられる。

【玉石による推進管損傷が起こる条件]

  1. ①危険な大きさの玉石が多数ある

危険な大きさとは中径の60~200mm程度で、これより小さければ玉石の強度が小さく玉石が割れ、これより大きいと地山に包まれ回転し難い。

  1. ②盤のN値が高い

楔作用や転動は反力となる地山強度がなければ地山側へ逃げるので推進管に大きな外圧は掛からない。

  1. ③進管の一点耐荷力より硬い玉石である

管強度より玉石の割裂強度が小さければ先に割れる。

    ④礫が存在する

N値が小さくても巨礫と管の聞に玉石が挟まり楔作用が起こる。対象地盤がこれらの条件に当てはまる場合は掘進機の性能や管外周への手当てだけではクラックや孔あき防止は難しい。

玉石の割裂強度より推進管の1点耐荷力が大きければ推進管の破損は防げる。管の破損が起きると連続的に発生することが多く破損防止には、採用管種(高強度管)の検討を十分注意して行う必要がある。玉石の割裂強度と管の耐荷力は以下のようになる(参考値)。

ガラス繊維入り管の場合は推進菅の中央に一点集中荷重をかけると、ガラス繊維により集中応力が広く分散される。また、推進管の端面に近い所に一点集中荷重をかけると、荷重点より端面に近い方は荷重が分散できないので孔が聞く前に縦割れクラックが先行して生じ孔が聞く。

中央より約30%耐荷力が低下する。推進管材の強化によってクラック・孔あき防止対策とするのは、経済的には負担になるが、対象地盤の条件によっては検討すべき重要事項である。CMT工法では掘進機後部にセミ・シールド機構を配置することで掘進機を直接押付け、推進を行う。

推進管の管列自体が弾性体であり、クッション材が加わると推進力による圧縮力を受け、縮んで応力を蓄えようとする。推進距離が延びると元押しジャッキによる掘進機への推進力伝達が不安定になり切羽への押付力が安定しない。

掘進機後部に配置したセミ・シールド機構で掘進機を操作することで、地山の変化等に瞬時に対応できる。また、元押しジャッキの推進力負担より先端抵抗を減じることができ、推進中は常時管列全体に推進力をかけ続けることによる管破損の可能性も減じられる。

表-8 推進管の損傷

損傷種別 特徴
推進力伝達による割れ 管端面破壊
方向修正による割れ ドーナツ状削れ縦割れ
玉石楔作用による割れ
転動 (カム作用)割れ
連続縦割れへアークラック状
縦割れ+孔あきφ

φ60~ 200mmの玉石径が多い


表-9 玉石強度(kN)

種別と引張強度
(割裂強度)/
サイズ(φ・mm)
濃飛流紋岩
24 (N/㎟)
神戸層流紋岩
16 (N/㎟)
花鴎岩
11 (N/㎟)
60 88 59 40
90 132 88 61
120 176 118 81
160 235 157 108
200 294 196 135

 

表- 10 推進管の一点荷重耐荷力

呼び径 管種 管厚
(mm)
一点集中荷重耐荷力(kn)
中央載荷 端寄載荷
900 SSP1種 90 240 168
900 SSP2種 90 334 233
1000 SSP1種 100 304 212
1000 SSP2種 100 400 280
1000 SSP1種 中厚120 600 420
1000 SSP2種 半管100 192  

※推進管の載荷試験機を使用し、鉄のブロックを玉石代わりに推進管天井に一点荷重を加え求めた。 (未試験管は推定値)

おわりに


現在、推進工法は広範囲に適用されている。近年の技術開発の進歩と共に大口径・超長距離・急曲線が求められているが、特に玉石・礫地盤の施工においては事前の詳細な土質調査が工事の成否を左右すると言っても過言ではない。

今回は玉石・礫地盤推進の中でも過酷な条件での施工例を中心に報告をしたが、このような現場での問題点は一般の玉石・礫地盤推進にも通じる問題でもある。玉石・砂礫地盤においては玉石の強度・分布率・最多玉石径・マトリックスの状態を詳細に調査したうえで、管径・管種・掘進機仕様・推進延長等の検討を詳細に亘って施工計画を立てないと想定外の結果に陥る危険性のある工事である。

CMT工法は岩盤推進から始まり礫地盤推進や超長距離推進、さらには障害物撤去推進などを手掛けており、玉石・礫地盤はどちらかと言えば得意とする範疇に入る部分である。ここで紹介した通り国内には非常に過酷な条件の現場もありその対応にはさらなる努力が必要であると考えている。

CMT工法の基本テーマである「知何なる条件下の工事をも失敗することなく安全に、安心して完遂すること」を目指し、協会・協会員が益々技術を研鑽し推進工法の発展に貢献したいと思っている。

[参考文献】CMT協会提供資料
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施工実績

代表的な施工事例です。

改築推進工法

山口県宇部市

φ840mm

大中口径管改築推進工法

 

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愛知県豊橋市

φ1000mm×1448m

500R 3箇所,700R 4箇所

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φ1350mm

可燃性ガス含有地盤
高土被り
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地下鉄築造時の親杭

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