トップページCMT工法・メディア紹介月刊推進技術 Vol.27 No.9 2013 投稿 阪神大水害の爪跡 Page2

CMT工法・メディア紹介

投稿 阪神大水害の爪跡、巨石群を穿つ(うがつ) Vol.27 No.9 2013

CMT工法を 特別仕様にして挑戦

巨石群や巨礫層での推進工事は非常に難しいことは周知の通りである。それに加えて当該工事ではその巨石群の中での水平方向および縦断方向と両方向にわたる急曲線部分があり、これを如何にして克服するかが課題であった。

写真-3 CMT掘進機

2.1 巨石群に対する対策

六甲山系の岩盤はかなり風化されている花崗岩質であり、その一軸圧縮強度は70N/mm2程度であるが、巨石や巨礫は同じ造岩鉱物で構成された岩盤と較べて高い強度を有していると考えられる。

巨石群の中での推進施工で最も重要なことは、「巨石の搖動(踊り)を如何に抑えることができるか」である。一度踊りはじめた巨石には掘進機の破砕力に対抗する反力が無くなるため、巨石の破砕が非常に難しくなる。また踊り始めた巨石は連鎖的に周りの巨石の安定を崩すこととなり一挙に切羽は乱れ、その回復は非常に難しい。

このような悪い連鎖を避けるために、常に切削部を非常に大きな力(場合によっては100tを越える場合もある)で切羽面に押付けて、ガッチリと切羽の巨石をホールドしながら破砕しなければならない。

また、このような条件下での推進施工では切削ビットの損耗や破損ばかりではなく回転する切削部面板や外周部分の損耗も激しいと考えなくてはならない。この度採用したCMT工法の掘進機は、岩盤対応機として開発された掘進機であるため、かなりハードな仕様になってはいるが、今回は巨石をしっかりとホールドしなければならないことなどを考慮して従来よりもさらに頑強な補強を施した。

(1)強度確保のために、従来はSS材で製作されていた切削部を摩耗に強いSCM材仕様に改良した。

(2)切削部の面板および外周はハードフェーシングに加えて数多くの超硬チップを埋め込み摩耗対策とした。

(3)巨石ホールドの対策としてはCMT掘進機の最後尾部に設けている推進力点ジャッキの設定能力を50tから120tに上昇させて対処することとした。

(4)巨石の破砕には硬い岩盤掘削での経験からディスクカッタではなくローラビットによる衝撃破砕方式を採用した。巨石群の中で切削部面板を強烈な力で切羽に押付けての切削となり、掘削トルクは非常に大きくなるがCMT工法は岩盤掘進を基本に設計された工法であり、元来大きなトルクを持っているので従来通りの掘進機で対応することとした

CMT工法においては、チャンバ内土圧、推進力点設備による切削部の押付け力、カッタトルク、推進速度、取込み土量、の5つの数値を分析・管理することにより切羽状況を数値管理することが可能で、ローラビットの摩耗度合やチップの破損状況などもほぼ正確に把握することができる。また、ローラビットの摩耗や破損を感知した場合にはCMT工法の特長の1つであるチャンバ隔壁に設置されている点検扉を開放して、機内からビットの交換をすることも可能である。

2.2 水平および縦断方向のカーブに対する対策

巨石群内での急曲線対策としては以下のように対策を講じることとした。

(1)R=55mの急曲線に対しては最少R=40m対応の掘進機を投入して対応した。

(2)巨石群内においては普通地盤に比べてその線形保持に必要な力はかなり大きくなるため掘進機の法線保持専用ジャッキ能力を約20%向上させることとした。

(3)切削部を自在に操り、線形を形作り、これを保持するために通常の方向制御設備に加えて、掘進機後部にセミシールド装置を装備してカーブの中でも自在に推進力を掛けることができる機構を採用した。

(4)セミシールド装置はカーブの中でのジャッキ操作となることから上下・左右の推進力に差異が生じ、種々の不都合が発生する。これを防ぐためにセミシールド設備の前後に特別仕様の圧力吸収装置を搭載して、カーブの中でもセミシールド装置のジャッキ圧力が均等に伝達できる機構を採用した。

(5)曲線部において必要となる管側面地盤反力を確保するため掘進機胴の側部に地盤強化剤注入装置を取付ける対策など、万全を期した設備とした。

(6)推進管に関しては急曲線への対応として、先頭から約66mの聞は1/2管を、また管のひび割れ対応としてはJGA-90管(下水道推進工法用ガラス繊維鉄筋コンクリート管)を使用することとした。

写真-4 急曲線対応掘進機の内部

 

 

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施工実績

代表的な施工事例です。

改築推進工法

山口県宇部市

φ840mm

大中口径管改築推進工法

 

紹介動画あり

愛知県

愛知県豊橋市

φ1000mm×1448m

500R 3箇所,700R 4箇所

新潟県

新潟県

φ1350mm

可燃性ガス含有地盤
高土被り
山岳下 120m

神戸市

神戸市

φ1000mm×251m

障害物

地下鉄築造時の親杭

(H300×300-9本)

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